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神戸地方裁判所 平成9年(行ウ)21号 判決

原告

加藤信明

(ほか二名)

原告ら訴訟代理人弁護士

前田貞夫

福井茂夫

被告

(豊岡市長) 今井昌三

右訴訟代理人弁護士

神田靖司

右訴訟復代理人弁護士

大内麻水美

主文

一  原告らの請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第二 事案の概要等

三 争点

1  本件補助金の支出は違法か。

2  本件フェスティバルの業務に従事した市職員に対する給与及び時間外手当の支給は違法か。

四 争点に関する当事者の主張

1  争点1について

(原告らの主張)

本件補助金の支出は、以下のとおり、公益性がなく違法である。

(一)  地方自治法二三二条の二が普通地方公共団体の行うことのできる寄附又は補助を公益上必要がある場合に限ったのは、恣意的な補助金等の交付によって、財政秩序を乱すことを防止する点にある。したがって、その公益性の判断については、補助の対象となる事業活動が果たすべき公益目的の内容、公益上の必要性の存在に関する判断過程に裁量の逸脱又は濫用が認められないか等、総合的に判断されるべきである。

(二)  本件補助金の支出の対象となる事業活動はアエロバティックス競技大会であり、これは特殊な小型飛行機による曲芸飛行、端的に言えば飛行機による空中サーカス又は空中ショーである。このような興行の開催は、住民の福祉とは関係なく、公益性は認められない。

(三)(1)  被告は、豊岡市長と実行委員会の会長を兼務している地位を利用して、実行委員会でアエロバティックス競技大会を開催することを独断で決定し、豊岡市の一般会計予算に本件補助金一五五〇万円を計上して、市議会の承認を得て補助金交付決定をなした。

(2)  しかし、豊岡市には財政上の余裕がなく、また、実行委員会は、アエロバティックス競技大会開催についてFWGPA―J(FAIワールドグランプリ・オブ・アエロバティックス日本代表)との間で契約書類を作成することもなく、明確な合意もないままアエロバティックス競技大会を開催したものである。

(3)  したがって、公益性が存在すると判断した被告の判断過程には、大きな裁量の逸脱又は濫用があったというべきである。

(被告の主張)

本件補助金の支出は、公益上必要があるとの判断から、議会の議決を得た予算を適法に執行したものであり、適法である。

(一)  補助対象事業

本件フェスティバルは、メインイベントであるアエロバティックス競技大会のほか、軽飛行機、ヘリコプター、グライダー、パラグライダー、スポーツカイトなどスカイスポーツの展示飛行及び機器展示、地場産品を展示即売する但馬じばさんまつり、演奏などステージイベント等のイベント構成により実施したものであり、本件補助金は、アエロバティックス競技大会のみに対して支出されたものではなく、あくまで本件フェスティバル事業に対して支出されたものである。

アエロバティックス競技大会は、空中サーカスではなく、あくまで国際オリンピック委員会傘下のFAI(国際航空連盟)公認の競技大会である。

(二)  但馬空港フェスティバルの目的

但馬空港フェスティバルは、平成六年に但馬地域全域で開催した「但馬・理想の都の祭典」の理念を継承し、ポスト祭典事業として但馬一市一八町が一体となって地域を挙げて取り組んでいる事業であり、但馬地域内外の住民の交流を促進するとともに、但馬空港及び但馬地域を広く世間にピーアールし、但馬空港の有効な活用と但馬地域の発展に資することを目的として、但馬地域の振興と地域全体の活生化、地域住民の福祉の向上を目指して開催しているものであり、平成七年は一〇月七日、八日に開催された。

(三)  豊岡市の施政方針

豊岡市は、地方自治法二条五項に基づき策定された、行政の基本的指針たる「豊岡市総合計画」の「基本構想」において、目指す都市像として「き・ら・め・き・交流文化都市」と定め、「但馬・理想の都の祭典」の推進を掲げている。また、「基本構想」を受けて策定された「基本計画」においても、「但馬・理想の都の祭典」を交流拡大の契機とし、市の地域特生を活かし多彩なイベントを開催し、交流文化都市にふさわしいまちづくりを進めることとしており、同時に、広域行政の推進からは、他町住民との連帯意識を醸成し汚個性豊かな圏域像を確立するため、市町の共同によるソフト事業を促進するとなっている。

(四)  地方公共団体のなすべき事務

以上のことから、ポスト祭典事業である但馬空港フェスティバル事業は、地域交流によるまちづくりを積極的に進めることとしている豊岡市の施政方針と目的を同じくするもので、その意味において豊岡市が「なすべき事務」に該当することは明らかである。

(5) 本件フェスティバル事業の主催者が実行委員会であることとの関係

本件フェスティバル事業は実行委員会主催の事業であるが、実行委員会が組織されたのは、当該事業が但馬地域を挙げて取り組んでいる事業であり、一市一八町及び関係団体が一体となって実施すべきものであるからである。

そして、豊岡市は、実行委員会の構成員の一員として且つ開催地元市として、中心的な立場から積極的に取り組んできたものであり、資金的、人的な支援を行うべき立場と責任がある。

そこで、当該事業が豊岡市の事務の一部に位置付けられることから、公益性があると判断して、本件補助金の支出がなされたものであり、そこに何ら違法性はない。

(六)  議会の議決

なお、被告は、豊岡市長として、本件フェスティバル事業が豊岡市の事務に該当し公益性を有すると判断したものの、慎重を期すために、年度当初の予算案上程の際、市議会に説明を行い、議会の議決を得ている。

2  争点2について

(原告らの主張)

(一)  アエロバティックス競技大会の開催等は地方公共団体の事務ではなく、また、アエロバティックス競技大会は豊岡市とは別個の任意団体である実行委員会が開催したものであるから、豊岡市が、職務専念義務違反の問題が生じないような措置もとらずに、職員を実行委員会に派遣し、アエロバティックス競技大会の業務に従事させたことは違法である。

(二)  豊岡市の職員一人当たりの一日分の給与は二万六一二六円である。

(三)  したがって、アエロバティックス競技大会の業務に従事した職員延べ五八五人に対する三日間の給与の合計一五三三万六三六〇円及び時間外勤務手当の合計一四八万〇六〇六円の総合計一六八一万六九六六円の支給は違法である。

(被告の主張)

(一)  本件フェスティバル当日は、会場整理、交通整理等で一時的に大量の人員が必要であるとの判断のもとに、助役及び市長公室長名で各部長等に対して職員応援要請が行われ、各部長等の職務命令により所属職員を本件フェスティバルの業務に従事させたものである。なお、右職員応援要請は、豊岡市事務決裁規程に基づく決裁を経て、正式に行われた。また、職員は本来自らの分掌事務に専念する義務があるが、地方自治法一八〇条の三の規定に基づき本件フェスティバルの業務に従事させたものである。

なお、支給されたのはほとんどが時間外手当であって、休日出勤の分はほとんど振替休日をとることにより清算された。振替休日による処理の指示は、地方公務員法二四条六項の規定に基づき制定した「職員の勤務時間等に対する条例」二条四項及び同条例に基づき定めている「勤務を要しない日等の振替実施要領」により行われた。

(二)  実行委員会の主催する本件フェスティバル事業は、前記のように豊岡市が「なすべき事務」に該当する。したがって、豊岡市が実行委員会の構成員として行う事務は、豊岡市自身の公共事務ということができ、本件フェスティバルの業務に市職員を従事させたことは、「派遣」ではなく、地方公共団体自らの事務を処理させたものに他ならないから、適法である。

第三 当裁判所の判断

一 〔証拠略〕によれば、次の1ないし5の事実が認められる。

1  豊岡市の施政方針等

豊岡市は、平成四年に地方自治法二条五項に基づき策定された「豊岡市総合計画」の「基本構想」において、「平成六年の開港に向けた『但馬空港』、空港の完成にあわせて開催される『但馬・理想の都の祭典』、自然と風土を活かした快適生活空間の創造をめざす『但馬理想都構想』、高速交通の陸路軸となる『北近畿豊岡自動車道』などのプ口ジェクトによって、但馬は大きく生まれ変わろうとしているが、こうした情勢のなかで、二一世紀の豊岡をさらに魅力あるものにする気運が高まっており、さらに住みやすく、生きることへの誇りとよろこびを育み、個生あふれる市民文化を創造し、人と自然が調和した交流と文化の拠点都市として躍進するため、めざす都市像を『き・ら・め・き・交流文化都市』と定める」旨定めている。

そして、「基本構想」を受けて策定された「基本計画」において、地域交流に関して、「豊岡市は、『ふるさと豊岡を考える会』開催、ふるさと宅配便開設など都市住民との交流を深める取組みを行っており、平成六年に開催される『但馬・理想の都の祭典』では但馬の自然・文化・味覚等を生かした交流の拡大が課題となっており、既存の交流事業の内容を一層充実させるとともに、個性と魅力のある新しい交流事業を創設するなど、豊岡市のPRや地場産業の振興を促す地域交流を積極的に進める必要がある」との現況及び課題のもと、「『但馬、理想の都の祭典』を交流拡大の契機とするため、豊岡市の地域特性を生かし多様なイベントなどを開催し、交流文化都市にふさわしいまちづくりを進める」旨の基本方針を打ち出している。

また、広域行政の推進に関して、「豊岡市を含む北但一市一〇町は全国でもいち早く広域市町村圏に指定されているところ、他町住民との連帯意識を醸成し、個性豊かな圏域像を確立するため、市町の共同によるソフト事業を促進し、また、圏域の一体的発展をめざし、広域行政を効果的に進めるため、関係市町の個生・特性に応じた役割を明確にし、相互の有機的連携と協調を強化する」旨定めている。

2  ポスト祭典事業

平成六年度に但馬全域を舞台に、一年間にわたって、但馬全体の地域づくり運動として「但馬・理想の都の祭典」が開かれた。その祭典の成果を引き継いで継続させるべく、平成七年度以降も特に交流を促進するイベント事業として、但馬ふるさとづくり協会が、但馬空港フェスティバル、但馬・食文化まつり及び但馬・牛まつりの三つの事業を平成六年度の祭典に続くポスト祭典事業と銘打って行うことになった。そして、但馬空港フェスティバル事業については、その実施のため、平成七年五月一二日、実行委員会が組織され、同年一〇月七日、八日に但馬空港フェスティバル九五が開催された。

3  但馬空港フェスティバル

(一)  実行委員会

(1)  実行委員会(平成八年七月八日に実行委員会の会則が一部改正された後のもの)は、豊岡市を含む但馬一市一八町及び豊岡商工会議所、但馬広域行政事務組合、但馬ふるさとづくり協会、但馬観光連盟、財団法人日本航空協会等一二の諸団体の各代表者をもって構成され、豊岡市長が会長を務め、事務局は事実上豊岡市役所内に置かれ、事務局職員は豊岡市職員が兼務した(実行委員会の会則上は、事務局は但馬ふるさとづくり協会事務局内に置き、実行委員会の中の「運営部会」の事務局を豊岡市役所内に置くことになっていたが、結局、「運営部会」は結成されなかった。)。

実行委員会は、但馬空港フェスティバルを円滑に推進することにより但馬空港及び但馬地域を地域の内外に広くピーアールし、よって但馬地域の発展に資することを目的とし、スカイスポーツ大会等のイベントの実施に関すること、FAIワールドグランプリ・オブ・アエロバティックスの但馬地域での開催に関すること及びその他前記目的を達成するために必要な事業を行うものとされている。

(2)  前記のとおり平成七年一〇月七日、八日に開催された但馬空港フェスティバル九五のメインイベントとしてのアエ口バティックス競技大会は民間企業が主催したが(ブライトリング・ワールドカップ・オブ・アエロバティックス一九九五の最終戦である第五戦。第一戦から第四戦まではそれぞれフランス、カナダ、アメリカ、オーストリアで開催された。)、右民間企業主催するのは三年間と予定されており、平成七年はその最終年であった。しかし、実行委員会は、平成八年度もアエロバティックス競技大会が但馬空港で行われることを望んだため、平成八年のシリーズの最終戦を実行委員会が主催するということになった。

(二)  本件フェスティバルの目的

本件フェスティバル開催の目的は概ね以下のようなものであった。

すなわち、平成六年五月、但馬空港を会場に「但馬、理想の都の祭典」の一つ「但馬・空の文化展」が開催され、国内外から六〇万人を超える人が訪れ、但馬地域の魅力や但馬の空の活用に向けた可能性についてアピールすることができたが、このポスト祭典事業として、平成七年一〇月、アエロバティックス競技大会をメインイベントとする「但馬空港フェスティバル九五」を開催した。このような流れの中、但馬空港をスカイスポーツのメッカとして、さらには「アエロバティックス=但馬」というイメージを確立するため、平成七年に引き続きアエ口バティックス競技大会をメインイベントとする「但馬空港フェスティバル九六」(本件フェスティバル)を開催することとし、また、本件フェスティバルの開催を但馬地域全体で取り組むことにより、但馬地域の経済発展と地域全体の活性化による但馬空港の利活用を図るとともに、新しい但馬づくりを創出する交流人の増加を促進することとする。

(三)  本件フェスティバルの内容

本件フェスティバルは、アエロバティックス競技大会をメインイベントとしていたが、スポーツカイトデモフライトや陸上自衛隊ヘリコプターエアーショー等のスカイイベント、郷土芸能披露等のステージイベント、スカイ用品の展示・販売、プレイランドの設置等をもその内容としており、但馬じばさんまつり等が協賛イベントとなった。

ただし、本件フェスティバルの期間三日間のうち平成八年一〇月二六日は荒天のためアエロバティックス競技大会が一部中止となり、入場料の払戻しもなされた。

4  本件補助金の支出

平成八年三月五日、実行委員会に対する「アエロバティックスワールドグランプリ開催費補助金」一五五〇万円の支出を含む平成八年度豊岡市一般会計予算が豊岡市長より議会に提出され、同月二八日可決された。

同年四月三日、実行委員会は、「豊岡市但馬空港フェスティバル事業補助金交付要綱」の規定に基づき、本件フェスティバル事業補助金として一五五〇万円の交付を豊岡市長に申請し、同月八日付けで補助金交付額を一五五〇万円とする旨の決定が通知され、実行委員会の請求により同月一五日ころ本件補助金の支出がなされた。

5  職員の本件フェスティバルの業務への従事及び給与等の支給

(一)  事務局

実行委員会の事実上の事務局の職員総数一〇名は、すべて豊岡市の職員が兼務したものであり、事務局独自の職員はいなかった。

(二)  本件フェスティバル当日の業務

(1)  業務内容

豊岡市職員が従事した業務の具体的内容は、交通の整理、会場における駐車場の整理、警備、清掃、入場ゲート係としての仕事等であった。

(2)  手続

豊岡市は、本件フェスティバルは本来市がなすべき事務に該当するとの判断から、職務命令により、市の職員に本件フェスティバルの業務に従事させた。具体的には、内部的に所要の決裁手続を経て、助役名、人事担当の部長名で、各部長等に対して職員の応援要請をし、それに応えて、それぞれの部署で該当の職員に対して上司から職務命令が発せられた。

(3)  豊岡市職員以外の本件フェスティバル業務従事者

なお、豊岡市職員以外で本件フェスティバルの業務に従事した者は、平成八年一〇月二五日にはなく(豊岡市職員は一一六人)、同月二六日は、豊岡市職員二四一人に対して七町から計八六人、但馬広域行政事務組合から六人、北但行政事務組合から九人、関係諸団体の一二団体から計一六二人、一般応募者が一人の合計二六四人であった。同月二七日は、豊岡市職員二二八人に対して、七町から計八七人、但馬広域行政事務組合から七人、北但行政事務組合から五人、関係諸団体の一二団体から計一五八人、一般応募者が一〇人の合計二六七人であった。

(三)  本件フェスティバルの業務に従事した豊岡市職員の給与等

(1)  給与

豊岡市の平成七年四月一日時点の職員数は四二四人であり、平成七年度の職員の給与(ただし、職員手当及び期末勤勉手当を除く。以下同じ。)は一六億〇七八六万五〇〇〇円である。年二五〇日の勤務として計算すれば、一人当たりの勤務一日分の給与は、右一六億〇七八六万五〇〇〇円を職員数四二四人で除し、さらに勤務日数二五〇日で除した一万五一六八円となる(一円未満切捨て)。

したがって、本件フェスティバルの業務に従事した豊岡市職員延べ五八五人に対する三日間の給与の合計は、右一万五一六八円に延べ人数五八五人を乗じた八八七万三二八〇円となる。

(2)  時間外勤務手当

平成八年一〇月二六日(土曜日)及び二七日(日曜日)は休日であったので、平日の通常の勤務時間に相当する時間分については振替休日の処置がとられ、通常の勤務時間を超える分については、平成八年一一月二一日に時間外勤務手当が支給された(総額一四八万〇六〇六円)。なお、管理職の職員については時間外勤務手当は支給されていない。

二 前記争いのない事実及び右認定事実に基づき検討する。

1  本件補助金の支出について

いわゆるポスト祭典事業である但馬空港フェスティバルは、地域交流によるまちづくりを積極的に進めることとしている豊岡市の施政方針と目的を同じくするものということができ、これに、地域経済への波及効果、地域イメージの創出・向上、地域の連帯感・関心の高揚といった地域イベントに期待される地域の活生化に及ぼす効用を併せ考えると、アエロバティックス競技大会がショー的色彩の強いものであること(この点は、相当性の点で検討の余地はあるといえよう。)を考慮に入れても、本件フェスティバルの事業ないしそのメインイベントであるアエロバティックス競技大会の開催のために実行委員会に補助金を交付することも、公益上の必要がないということはできず、支出権者には補助金の支出につき裁量権が認められることに照らし、本件補助金の支出をもって公益上の必要に基づかない違法な支出ということはできない。

原告らは、公益性が存すると判断した被告の判断過程には大きな裁量の逸脱又は濫用があった旨るる主張する。たしかに、本件フェスティバルのメインイベントであるアエロバティックス競技大会の開催につきFWGPA―Jとの間で契約書を作成して合意内容を明確にしておくことを怠った(証人三好彪夫)など、実行委員会の運営に問題がないわけではないが、だからといって本件補助金の支出が公益上の必要を欠くことになるというものではない。

2  本件フェスティバルの業務に従事した市職員に対する給与等の支給について

本件フェスティバルの開催は、その目的、内容及び開催場所並びに豊岡市の施政方針等からすれば、本来豊岡市の事務として独自に行うことも許されるものであると解され、他の町等との連携の必要性から組織した実行委員会において実行委員会の一員である豊岡市が、実行委員会の一員として同市の職員をその職務に従事させたからといって、右の事務の性質が変わるものではないと解される。

したがって、本件フェスティバル当日にその業務に従事した職員(及びその事前準備に従事した職員)は、実行委員会において、豊岡市がなすべき責めを負う職務に従事したものということができ、その行為が地方公務員法三五条所定の職務専念義務に違反するとはいえない。

よって、右職員に給与や時間外手当を支給したことが違法であるとはいえない。

三 結論

以上によれば、原告らの請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 水野武 裁判官 田口直樹 大竹貴)

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